タイトルにある「感じる」の部分がこの展覧会の楽しいところで
縄文時代の道具や食べ物、縄文人の骨(全体!)などを通じて
その暮らしや環境を想像することができる。
有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)という美しい石器が目に留まった。
この石器の表面には規則正しく並んだあとがある。
それはどうやらシカの角で押しはがした剥離痕なのだそうだ。
石の表面を押しはがすのか、縄文人。
圧巻は縄文土器である。
なぜこんなものを作ったのだろう。
観れば観るほどわからない。が、とても好きだ。
ここで観たものを記録したいと土器の全体や細部、また
様々な石器をスケッチする。
(スケッチはご遠慮下さいとあったが、鉛筆を借りた際に許しを得た)
土器を観ていくうちにあることに気が付いた。
多くの土器の口縁部が「波打っている」のだ。
土器の文様として表れた波が、うごめき、土器全体に振動し、
その際(キワ)の部分に余韻を残して終わっている。
波打ち際だ、と思った。
土器に水を入れて魚や貝を煮ると、ますます土器は海に似てくる。
とまあこんな事を考えて一人興奮していたのだった。
観終えたところでガイドブックなるものが売っていて
ぜんぶ図版にあるやん、となったが、スケッチすることで
色々と発見があったり、より深く心に刻めたので良しだ。
つくづく物に直にあたることが大切だなと思う。
そこでは、まさに「感じる」ことができるから。
手に触れられたらもっと良いだろう。いつか触ってみたい。
博物館の常設では、旧石器時代から現代にいたる様々な展示が
繰り広げられていたが、縄文コーナーで学芸員のおじさんに色々
と教えを乞うているうちに、とうとう時間切れとなり、ついには弥生
時代までしかいけなかった。近いうちにまた行こうと思う。
今、縄文への情熱がこれまで以上に高まっている。