名古屋 L galleryにて、個展 “土のなごり”を開催いたします。
L galleryにはじめて伺ったのは2011年3月。
一見ギャラリーのように見えない、コンクリートのアパートメント。
どうやって入るんだ?と戸惑ったことを覚えている。
ギャラリーオーナーで美術家の小島久弥さんに誘っていただき、
岐阜県現代陶芸美術館の企画展「土の冒険のぼうけん」に参加したのは2016年のこと。
偶然にも常滑から多治見に移住するタイミングだった。
常滑から、多治見から、今は美濃加茂から訪ねている。
今回、江藤莅夏さんに紹介文を書いてもらえたことも喜びの一つ。
いつも送っていただいていた案内状の文章が好きだったので。
そんなL galleryで自分の個展が開催されることにとてもご縁を感じている。
ぜひ、ご高覧ください。
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“土のなごり” vestiges of the earth 阿曽藍人 展
2022年10月22日(土)~ 11月6日(日)
13:00~20:00
在廊日:10/22(土)、23(日)、11/6(日)
名古屋市名東区本郷1-43 The Apartment LiF F-1
一昨年、美濃加茂の地に移り住み「作品に対する集中度と、制作の楽しさが格段に上がりました」と話す。阿曽の作品は一般的な焼き物より焼成温度が低い。1000℃を超えると硬質になるが敢えてそれを選ばないのは、土と焼き物の間の生っぽさを遺すため。焼く前の土が持っている、焼かれた土が持っている両の感触。まだ息をしており湿気さえ含んでいるような「土のなごり」を。それは野焼きの必然にもつながる。電気窯で制作していたものの、どこか違和感があった。焼き物で作品を作る意義が今ひとつ見出せなかった。しかし野焼きを体験した時、煙、匂い、音、色、温度…土が火で焼かれて変化していく状態、土が焼き物になっていくということが初めて肌で感じられた。頭では理解していたつもりの焼き物の過程が、鮮明に身体に流れ込んできたのだ。自分でものを作り出す感覚、最初から最後までフィジカルに関わるこのプリミティブな制作方法がしっくりときた。閉じた形の中の空気を逃しながら作る、それは空間を造形するともいえるか。生まれたフォルムが次なる行為を誘発する。具体的に何かを盛らずとも受け入れる形。無機ではなく息衝きをやめない有機的な存在感を放ち。虚の手触りを頼りに、今日も阿曽藍人は土とやりとりを続ける。